工場管理 2021年4月号に掲載されました。

工場管理2021年4月号
工場管理2021年4月号

★初のLPガス専用エンジン

東日本大震災から10年。燃料劣化等により震災時に動かなかったという報告もあるディーゼル発電機に代わり、関電工は燃料劣化が少ないLPガスエンジンを共同開発しました。
LPガスは 国家備蓄だけでなく 多くの自治体や企業、一般家庭などで備蓄されています。
製品化に際してはフィールド試験を実施、真夏の炎天下で連続運転をさせて性能を検証、環境温度が40℃以上でも安定して稼働することを確認しました。

★200人分のスマホ充電が可能

工場や事務所が地方自治体から一時避難所として認知されると、補助金が適用できます。
駐車場などに発電機を設置し、非常時に地域住民にスマートフォンの充電用に開放するなどすれば地域貢献にもつながります。
災害対策本部、危機管理対策室、サーバー室、備蓄品をストックしている収納庫など災害時に絶対に機能しなくてはならない設備や場所の多い企業様向けです。

★ゼロベースの開発

これまで、非常用発電機として主に用いられてきたディーゼル発電機の燃料となる軽油、ガソリンはどちらも災害時の燃料調達で苦労しています。
またガソリンは劣化が早い為、燃料には劣化の少ないLPガスを採用しました。
乗用車用エンジンを転用した商品は多くありますが、燃費が悪く起動時間や耐久性にも問題がありました。そこで、72時間連続稼働可能な耐久性を持ち低燃費で燃料消費が少ない小型でコンパクトな発電機を考えました。
共同開発をお願いした林先生は日産自動車に在職中デイトナ24時間レースで優勝するなど、レーシングエンジンの第一人者です。
レーシングエンジンの開発技術には 馬力、耐久性、低燃費高効率、軽量コンパクトのすべてで優位であることが求められ、林先生はそれに関する多くの知見を持たれていました。

★レーシングエンジンのDNAが宿る

自動車エンジンと発電機エンジンでは出力の形が異なる事、軽量コンパクトであるがゆえの難しさなど悪戦苦闘しました。
フィールド試験を繰り返し、熱流体力学を駆使しながら改善を重ね、TUVの電気安全認証を取得することができました。

★常用・非常用兼用50kVA発電機の開発へ

関電工では国土交通省のオープンデータを活用し、洪水と津波の水災害に自治体の庁舎、消防署、避難施設を重ね合わせた独自のハザードマップを作成しました。
対象は関東圏340の自治体。調査の結果、180の自治体が2m以上の浸水想定地域を持つことがわかりました。その中には役所、消防署、避難施設などを含む自治体も多くありました。
この事実から、今後のBCP対策を考える際には、これまで以上に水災害を強く意識した活動にすることが望ましいと考えられます。
関電工は将来の成長戦略として防災・脱炭素をテーマとした開発に取り組んでいます。
将来的には、地産地消型の小規模エネルギーネットワーク・地域マイクログリッドの構築も視野に入れています。
マイクログリッドは再生エネルギーを主要電源としますが、需給調整のためLPガス発電機は有用です。
3kVA非常用発電機だけでなく、常用・非常用兼用の50kVA発電機の開発も現在進めています。

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